OREAD Diary March 1〜March 31


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March 31, Wednesday 2004

土曜日以来のオーリアッド。気がつけば3月も今日で終わり、明日から4月。

南正人さんから電話。元気そうな声。今回はスケジュールが合わなかったが、また是非歌いに来てほしい。山岸豊さんからも電話あり。4月10日(土)の飛び入りライブに、前橋のロータスという名前の歌い手とともに参加したいとのこと。

遅くなって、建築家の宮沢さんが、娘さんの穂乃香(ほのか)ちゃんとやってくる。東京芸大の先端芸術表現科に入学が決まったとのこと。二人とも嬉しそう。小学生低学年の頃から彼女を知っているが、本当に性格のいい娘だ。よくオーリアッドでの集まりに両親とやってきては、きれいな声で歌ってくれた。

音楽の道に進むのかなと思っていたが、美術を選んだ。お父さんの影響だろうか。それにしても高校時代、美術を選択していないで、東京芸大の美術学部に合格するとは大したもの。下の写真で、黒いカーディガンを着てピアノを弾いているのが穂乃香ちゃん。去年のほたる祭りライブの打ち上げにて。

                 

March 27, Saturday 2004

「大変な」飛び入りライブになった。サウンドチェック、本番、その後のセッションと、最終的に家に帰ったのは午前3時。

サウンドチェックの後、安藤則男さんに先ず2曲ほど歌ってもらう。Blowin' in the Wind と Girl from the North Country。その後、早速メインフィーチャーの野間さんとSHIZUさんに歌ってもらうことにする。というのは、野間さんとSHIZUさんの歌を聞きたいと野辺山からきてくれた平松さんが、電車の時間の都合で早く帰らなければならなかったので。

野間さんは、多くのアーティストのレコーディングやツアーに参加してきたギタリスト。今日彼の歌を初めて聞いた。1曲目、Good to See You。 よかった。Shizuさんのハーモニカもかっこよかった。その後、「100年の憂鬱」「あなたの目」「あの日のDiary」「Over the Rainbow」など、野間さんとSHIZUさんがほぼ交互に歌う。SHIZUさんの声はハスキーで、独特なのりがあり、魅力的だ。50分ほどのステージ。

  

次に田中誠一君。「ゴルゴダの丘」「子供だったらもっと高い山に登りたがるはずさ」「どさまわり」「季節風」「流れ星とまれ」などを歌う。前半一人で、後半は野間さんのギターのサポートが入る。田中君の歌と歌の間の話は面白い。今回印象に残った歌は、前回も聞いた「なんだかなんだかなんだか・・・」で始まる歌。野間さんのリードギターが入ると彼の歌がぐんと引き立つ。何といっても、野間さんはリードギターで入ったときが一番野間さんらしい。

  

その後、「ふあさん」率いる「ケサランパサラン音楽雑技団」。ボーカルとギター:ふあさん。エレキギター:安藤さん。エレキベース:伊藤さん、パーカッション:中馬さん。「会合」「さよならはダンスの後もいやだ」「ぼくに正義はないけれど」「島」など、いい歌、いい演奏を聞かせてもらった。

  

休憩後、ぼくが「千の風」を歌い、その後、遅れてきた垣内基良、小林紀雄両氏による「サウンド・オブ・サイレンス」。二人は、もう何年も前、オリジナル・オーリアッドによく歌いにきてくれたもの。

  次から次へといろんなバンドが
  ステージ狭しと歌いまくる
  垣内バンド、万五郎(まぐろ)婦人会
  それに赤坂ホンダフォーク愛好会
     We are the Oread, We are the Oread
       We are the Oread Band
       We are the Oread, We are the Oread
       We are the Oread Band

今日は歌う予定がなかったとのことで、あの頃の声は出ていなかったが、いい味を出していた。また歌いにきてほしいもの。その後、諏訪の堀内さんが「サンタルチア」をイタリア語で。ほとんど毎回彼は外国語の歌を原語で歌っているが、今日はいつにもまして拍手が多かった。その後、前半の出演者に、1、2曲づつ歌ってもらい、10時半、今日のライブは終了。

  

その後しばらく、みんな自由に飲んだり、話したりしていたが、いつからともなくセッションが始まった。河島英五バンドでギターを弾いていた野間さんと、喜多郎バンドでギターを弾いていた安藤さんが、もの凄いギターの掛け合いを始める。それに触発され、ケサランパサランの伊藤さん、中馬さんも加わり、さらにみんな何かをたたいたり奇声を発したり。明日仕事なのでと途中で帰った大月さんが残っていなかったことが残念。彼のピアノが加わったら、それはもう筆舌に尽くしがたいものになっていただろう。

とにかくみんな何かに憑依されたようだった。過去にもこういう経験は何度かあったが、計画してできるものではない。

そのセッションをほろ酔い気分でうれしいそうに聞いている田中君の顔が印象的。彼が原作を書いた劇画『達磨』が近々講談社から出るらしい。それが彼の通算100冊目の単行本とのこと。1冊出たあと、後がづづかないぼくにとっては考えられない数。

  

いろんな背景、いろんな考えを超えて、とにかくみんな音楽が好きだということが確認できた夜。


March 26, Friday 2004

今晩は7時半から上島の公民館で渡戸、上島、今村の3部落による御柱の打ち合わせ会があった。その間オーリアッドは妻に頼み、会議が終わってから交代した。

オーリアッドに入ったときは9時少し前。妻は60年代の音楽のアンソロジーをかけていて、ちょうど「ワシントン広場の夜は更けて」が始まったところだった。この曲は、ことばなしで、メロディだけで、多くを感じさせ、思い出させる。凄い!

午後、家のほうへ小沢幸彦先生がもってきてくれた4月11日の自衛隊イラク派遣に抗議する集会のチラシを、オーリアッドのカウンターにおいた。ぼくに反戦歌を歌ってほしいとのことだが、反戦歌というよりも、みなさんが知っている懐かしい歌を一緒に歌えたらいいなと思う。

チラシは
をクリック。


明日は飛び入りライブデー。面白くなりそうだ。是非おでかけ下さい。


March 25, Thursday 2004

昨日リリースされたクラプトンの Me and Mr. Johnson を、塩尻の平安堂で購入。今晩それを繰り返し聞く。素晴らしい。ロバート・ジョンソンの朴訥なゴツゴツしたブルーズが、なめらかなクラプトン節に変えられている。

また大友博さんという人の対訳が見事だ。ぼく自身翻訳に苦労したから、彼の訳の素晴らしさがわかる。そして、おそらく彼がしたであろう苦労も。彼の訳を読んでぼくの訳のいくつかの間違いに気づく。その逆もなかったわけではないが。翻訳は難しい。

その難しい翻訳を今晩も、お客さんのいないときに続ける。The Blues−A Musical Journey の訳。わかりやすいなめらかな日本語にするのに苦労する。どんどんと締切日が近づいてくる。がんばらねば。

めずらしく長島さんが早い時間に来た。「ぼくはマンガを読む人ではなんですが、『16フィートの真夏』は面白くて2度も読んでしまいましたよ」という。そして、「マンガというよりも、ノンフィクションを読んでいるようでした」と付け加えた。その本は3月6日の飛び入りライブの際に、彼が著者の田中誠一君自身から購入した『16フィートの真夏−ジャッカル丸山の伝説』である。今度の土曜日にも、田中君は、野間義男さんと SHIZUさんと一緒に歌いにくる。

その日、歌いにくるもう一人の服部さんは、通称「ふあさん」で、松本の精神科医である。彼に最初に会ったころ、今からもう30年近くも前だろうか、彼はまだ信大医学部の学生で、詩を書いていた。


March 24, Wednesday 2004

先週土曜日以来のオーリアッド。

久々にディランの Love & Theft をリマスター盤で聞く。今ブルーズに関する文章を訳しているせいか、このアルバムにもブルーズが、あるいはブルーズに影響を受けた曲が多いことに気づく。

訳している文の中に、「ブルーズがなかったら、アメリカの音楽は・・・川のない町、帆のない船、機関車のない汽車だ」というところがある。確かにディランの全作品からブルーズの要素を取り去ったら、かなり気の抜けたものになってしまうだろう。

先日の土曜日も、今晩も、「イチョウの葉茶」が出た。オーリアッドでは、変わったお茶としては、どくだみ茶、イチョウの葉茶、高麗人参茶、グアバ茶、よもぎ茶を飲むことができるが、意外とイチョウの葉茶が出る。在庫がなくなった。仕入れなければ。

今晩も最後はケイト・ウルフを聞いた。心が落ち着く。


March 20, Saturday 2004


今日はたっぷりと BONOBO の歌を聞いた。オーリアッドが昨年6月に再オープンして最初に歌いにきてくれた BONOBO のメンバーは芦部さんだった。それからフランケン池上さんが歌いにきてくれるようになった。佐野さんを含むメンバー全員がそろった BONOBO を聞いたのは、今年のバレンタインデーの「かんてんぱぱホール」でのコンサート。

そのときは会場が広かったし、女性リコーダー・グループと競演したということもあって、今日の BONOBO ほど印象が強くなかった。

7時半の開演時間までに、BONOBO ファンが、かなり集まった。前半は「春夏秋冬」「あの夏休み」「「すこやかに」「月の神話」「切なくて」「月見草」など9曲。ぼくがもっともいいと思ったのは、初めて聞く「すこやかに」。

   

アメリカによるイラク侵略からちょうど1年。その歌は、今日オーリアッドで歌われるもっともふさわしい歌に思えた。それは自分の子どもたちだけでなく、世界のすべての子どもたちが「すこやかに」成長して欲しいと願う歌。

  ・・・
  君たちと同じ子どもたちが
  世界のどこかで泣いている
  君たちと同じ子どもたちが
  世界のどこかで飢えている
   すこやかに、すこやかに
   この星のすべての子どもたちの
   澄んだ瞳が涙で
   あふれることのないように

このようにファースト・バースのことばを一部書いてみても、ぼくが感じた感動を伝えられそうにない。この歌の素晴らしさは、ことばもさることながら、芦部さんの書いた曲の美しさにあるのかもしれない。

後半はピアノに松沢さんを迎えて4人で、「東京」「ひぐらし」「林檎」「コーヒーショップ」「月と海」の5曲。彼女の優しいタッチのピアノがはいると、BONOBO の演奏がしっとりとし、説得力が増すように思われる。「コーヒーショップ」はフランケン池上さんがソロで歌うのを何度も聞いたが、やはりバンドと一緒の今日の「コーヒーショップ」がベストだった。

   

アンコールに「走れ!飯田線」。そして、遅れてきた人たちのために、ぼくがもう一度「すこやかに」をリクエスト。彼らがそれを歌い終わったとき、ちょうど9時半だった。

  この星のすべての子どもたちの
  澄んだ瞳が涙で
  あふれることのないように

ということばの余韻が会場を包み、拍手が長い間鳴り止まなかった。素晴らしいコンサートだった。最近のオーリアッドの飛び入りライブは本当に充実してきた。今晩は彼らの専属ミキサーの杉本さんがミキシングを担当してくれて助かった。

  

30分ほど休憩したあと、ぼくが「ミン・オントゥイーのバラード」「千の風」「カムサハムニダ、イ・スヒョン」を歌い、その後、堀内さんにもステージに上がってもらい、We Shall Overcome と Blowin' in the Wind を会場の皆さんと歌う。今日、日本各地で、また全世界で繰り広げられたイラク侵略に反対する集会やデモ行進に参加できなかったぼくの、ささやかな意思表示として。


March 19, Friday 2004

今日も寒い一日。前半、 Martin Scorsese Presents: The Blues−A Musical Journey のブックレットの翻訳が少しできた。4月の初旬には訳し終わらなければならない。けっこうな量で、訳しづらいところも多い。あまり進めなかった。ただこれを読むとブルーズの歴史がよくわかり興味深い。

後半、少しお客さんが入る。中に、警察官の格好をした人が3人入ってきた。警察官と思ったのは間違いで、新しく交通安全協会の支部の役員になった方々だった。その中のFさんから、田中美智子さんが、1月にお亡くなりになったと教えられた。田中さんは、2回目のオーリアッドサロンで、アメリカの病院での手術、および入院生活についてお話いただいた方である。大手術をしたとはいえまだ若く、お元気そうだったので驚いた。彼女は何冊もオーリアッドの本棚に本を置いていって下さった。お亡くなりになったのは、お話しいただいた病気が原因ではなく、心筋梗塞だったとのこと。田中さんのご冥福をお祈りする。彼女のお話は次のURLから。 http://www.secondwind.jp/monthsalontanaka.htm


ぼくもかつて安協の役員をしたことがある。もう何年も前のこと。その頃から比べると最近は少しは簡略化されたと聞く。大変な日々だった。おかげで、「○○安協ブルーズ」という歌ができた。

   雨の降る日も風の日も
   5のつく日には街頭指導
   何が何でも案山子のように
   今朝も立つよ街頭指導

今年からわが家は安協の会員になることをやめた。

明日の飛び入りライブは、BONOBOの登場。どんな演奏を聞かせてくれるか楽しみだ。



March 18, Thursday 2004

タコスの評判がいい。長男が東京のデパートで買ってきてくれたタコスの皮が残り少なくなった。通販で購入しようとしたら、「在庫なし」との表示。松本のデパートならあるだろうと、雪まじりの雨の中でかけたが、なかった。デパートの食品売り場の主任が親切で、市内のいくつかのスーパーなどに問い合わせてくれたが、どこにもないとのこと。

昨年、ロバート・ジョンソンの翻訳を手伝ってくれたアメリカ人の友人が、国体道路沿いに輸入食品店があるといっていたのを思い出した。デパートで、何人かの人に、その店を知っているかと聞いたが、誰も知らなかった。それで、彼にその場所を聞こうと電話をしたが、不在。仕方なし、とにかく国体道路へ行ってみようと車に乗った。

その時までにかなり雪が激しくなっていた。国体道路に入ってしばらく北上すると、輸入雑貨を扱っているカフェが目に入った。ここかもしれないと中に入ったが、食品は置いてない。お店で働いている女の子に聞いてみると、知らないという。あきらめて店を出たところで、後ろから声をかけられた。別の女の子が出てきて、次の信号を超えた左側にその店があるという。そして彼女は、店の名前は Treasure Island だと、付け加えた。

その店を探しながら、ゆっくり車を進めた。信号を超えてすぐのところに、小さな店がいくつかあった。そのうちのひとつに Treasure Food Co. という看板が出ていた。今までに、何度もこの店の前を通ったが、まったく気がつかなかった。それもそのはず、この店は、店というよりは一般住宅のような外観で、看板も目立たない。

小さい店舗なので、ないかもしれないと思いながら、タコスの皮があるかと聞くと、あるとのこと。店の奥に、ぼくが探していた OLD EL PASO Taco Shells と書かれた黄色いカートンが置いてあった。お店にあるだけの Taco Shells を購入。しばらくは、もつだろう。

今晩寄ってくれた大月高志さんにその話をすると、伊那の農道沿いの大型酒店にも置いてあるはずとのこと。今度行ってみよう。大月さんは、茶木みやこさんと「よしだよしこ」さんのコンサートの予約をしてくれた。彼は、茶木さんの横溝正史シリーズの主題歌をよく知っているし、よしださんの友だちのシンガー丸山圭子さんの息子さんと、以前に東京でバンドを組んでいたとのこと。一度丸山さんのコンサートに行ったとき、よしださんがギターでサポートしていたらしい。

遅くなって、Dr. Yajima が、パソコンレッスンの帰りだといって寄ってくれた。長女は4月から東京で就職することになっているし、次女は横浜の歯科大に合格したと、嬉しそうだった。

フランケン池上さんから電話。マイクとマイクスタンドのことでぼくからも連絡しようと思っていたところ。土曜日のBONOBOのライブでは、ピアニストの女性が数曲一緒に演奏し、歌を歌うこともあるとのこと。オーリアッドのマイクだけでは足りなくなる。マイクとスタンドを何本かもってきてくれることになった。彼は、オーリアッドのライブ終了後すぐに、スウェーデンに戻るため、成田に向かわなければいけないとのこと。大変だ。



March 17, Wednesday 2004


土曜日以来のオーリアッド。店に入り、先ず、CDプレーヤーに、最近よく聞いている Kate Bush の Gold in California を入れる。それから、土曜日そのままにしておいたグラスやカップを洗う。土曜日にはわんわんとしていた店内も、今日は静かだ。ただ 聞こえるのは Kate Bush の穏やかでのびやかな声。

長島さんが、息子さんを連れてやってきた。奥さんが出産してまだ入院しているので、保育園に延長保育をお願いして、迎えにいってきたとのこと。今晩は迎えにいくのが遅れたので、息子はすねて一言もしゃべってくれないらしい。ぼくが話しかけても何もいわない。友だちがみんな帰ってしまい、一人で待っているときは心細かったに違いない。スパゲッティとタコスを食べたら、少し元気が出てきたようだ。

数日前、ソニーのKさんから連絡があり、Martin Scorsese Presents The Blues − A Mucical Journey という60ページほどの小冊子の翻訳を依頼された。5枚組のCDについているブックレットである。昨年の夏以降、ブルーズの歌詞を訳す機会が増えた。この小冊子を訳すことによって、さらにブルーズの歴史やブルーズマンたちについて知ることができるだろう。ただ活字が小さくて、ぎっしり詰まっているので、かなりの量だ。それほど、のんびりしてもいられない。お客さんのいない間に少しづつ訳し始めた。

フランケン池上さんから電話。日曜日にスウェーデンから戻ったとのこと。土曜日のオーリアッドでの BONOBO のライブに参加して、次の日にまたスウェーデンに戻るとのこと。NHK長野とオーリアッド出演のために、仕事を途中でやめて戻ってきたらしい。

その後、芦部さんからも電話があり、土曜日、BONOBOは1時間半欲しいというので、7時半から9時まで、BONOBO Concert ということにした。BOBNOBO ファンが大勢来てくれるようである。この日は、飛び入りライブデーです。それほど時間がとれないかもしれませんが、BOBNOBOの前後にどなたでも歌えます。聞きに、歌いに、お出かけ下さい。


March 14, Sunday 2004

今日は朝から、御柱の木場出しに行ってきた。そのときの写真をいくつか。

    

     
all photos by miura except for the last one by Yukinari Otsuki


March 13, Saturday 2004

素晴らしいライブだった。「香月!」、オーリアッド2度目の登場。前回とは一味違った演奏を聞かせてくれた。香さんのボーカルもさることながら、前回はバックアップに徹していた大月さんと「いがらん」さんのギターが前面に出て、しかもその息がピタリと合い、見事な演奏を展開した。

大月さんが、前回はすわっていたが、今回は立ってギターを弾いたのもその積極的な姿勢の表れだろう。ほめ殺しと受け取られるかもしれないと恐れつつ、ぼくの正直な気持ちを書けば、彼らの演奏は超一流の域に達している。国の内外で多くのコンサートを聞いてきたが、今晩の「香月!」は、特に、「X-微熱の街」のギターワークはどこの誰にも引けをとらない。それは、ぼくの身体に戦慄を走らせ、心を自由に解き放った。言葉人間のぼくに、音楽そのものの力を感じさせてくれた。

  

セットリストは、

  1.誕生
  2.Strawberry Night
  3.海鳴り
  4.X-微熱の街
  5.だるまさんがころんだ
  6.しろうさぎなまいにち
  7.Ann〜ラストソング

ボーカルの香さんは、仕事の関係でやや遅れてオーリアッドに到着。バンドとの音合わせもなく、すぐさまステージに立たなければならず、ちょっと気の毒だった。前回ぼくが感じたクオリティが戻ってくるまでに少し時間がかかったが、最後の「Ann〜ラストソング」は素晴らしかった。

今夜は先ず、赤羽真理さんが「バラはあこがれ」「森の小道」「旅立ちの時」そして「ケサラ」を歌う。「ケサラ」を聞くのは2回目。とてもいい歌だ。次にぼくが、お客さんのリクエストに応えて「千の風」を歌い、次に篠原一弘さんが、新曲の2曲「初恋」「ふるさと」、さらに「星ヶ丘」「青空」を歌う。彼の曲はメロディアスで、しかもことばが紋切り型ではなく、自由自在に展開され、才能を感じさせる。今日も弘介君がお父さんのカメラマン。

   

篠原さんのあと、「香月!」が前述した見事な演奏を披露した。その後10分ほどの休憩を挟み、ぼくが「一通の手紙」と「風に吹かれて」を歌い、その後、篠原さんが再登場し「春夏秋」を歌う。次に先週風邪でお見えにならなかった堀内さんが「ともしび」をロシヤ語で、「花はどこへ行った」をドイツ語で歌う。最後に、「香月!」の大月さんがピアノで Merry Christmas, Mr. Lawrence を弾いて、今日の飛び入りライブは終わった。

ライブのあと、出演者を囲んで音楽談義に花が咲いた。60年代前半、グリニッチ・ビレッジのコーヒーショップでは、有名無名の多くのフォークシンガーが歌っていた。彼らは互いに刺激しあい、触発しあった。そこからフォークソング・リバイバルが起こり、ボブ・ディラン、トム・パクストン、フィル・オウクスなどのスターが誕生した。規模は小さくても、オーリアッドがそのような場所になれたらと思う。

いずれにしろ、この日記を読んでいる方で近くにお住まいの方は、次回「香月!」がオーリアッドに登場するときは、是非お見逃しなく。松本近辺にお住まいの方は、3月20日に松本で彼らのライブがあります。


  3月20日(土)ライブ at 松本 Hot Lab.
   午後6時開場、7時開演
  チケット 前売800円、当日1000円(ドリンク別)
  香月!の出演は1番目です。対バン Dr. Papas
  ライブハウス Hot Lab.松本市中央 1-5-4 第一ビル1F
   Tel: 0263-39-1677



March 12, Friday 2004

小野の中村さんが、開店後しばらくして入ってきた。彼が描いた風神雷神の大凧が大空に上がっている写真を見せにきてくれたのである。この凧を上げる日、連絡をもらったが、何かの都合で見にいけなかった。8畳もある凧が、小さく見えるほど高く舞い上がっている。

1985年に初代オーリアッドがオープンしたとき、彼は毎晩仕事帰りに寄ってくれたものだ。ステージ右前の5番テーブルが彼の指定席。夕方オーリアッドへいくと必ず彼がそこにいた。当時彼はまだ30代。今晩カウンターにすわっている彼が、当時と少しも変わっていないのに驚く。

長島功さんが、無事産まれましたと伝えに寄ってくれた。そろそろ予定日だと思っていたが、今日奥さんが二人目の赤ちゃんを出産したのだ。女の子とのこと。うれしそうだった。ぼくも子供たちが生まれたときのよろこびを思い出した。

明日の飛び入りライブのメインフィーチャー「香月!」の「大月」さんと「いがらん」さんが、遅くなって寄ってくれた。先ずタコスとワインをオーダー。「もし全部飲みきれなかったら、明日までとっておきましょうか」といったが、その心配はなかった。10分もたたないうちに空になっていた。さらにジャックのダブルを。ツヨイ!

宮田の芦部さんから電話があった。フランケン池上さんの会社に電話をしたのだが、彼が出張先のスウェーデンからいつ帰ってくるかわからないと言われたとのこと。予定では今日帰ってきて、明日の「香月!」のライブを見に来たいと楽しみにしていたのだが。来週木曜日午前11時半から、BONOBOはNHK長野に出演することになっている。もし彼の帰国が遅れれば、彼なしで出演しなければと芦部さんは心配していた。BONOBOは来週の飛び入りライブのメインフィーチャー。そのときまでには帰ってくるだろう。



March 11, Thursday 2004


今晩は早い時間に何人かのお客さんがあったが、あとは暇だった。そこで、昨日の「おもいっきりテレビ」でやっていた電子レンジでぬか漬けを作る方法を試してみた。

まず「ぬか床」を作った。午後スイミングのあと買ってきた「ぬか」150グラムに、塩(大さじ1.5)、ヨーグルト(1カップ)、唐辛子(1本)、水(大さじ1)を混ぜ、耐熱容器に移し、クッキングペーパーをぴったりかぶせて、レンジ(150〜200W)で30秒加熱。取り出して20分待ち、さらに電子レンジで30秒加熱。そして20分後にもう一度レンジで30秒加熱。これで「ぬか床」の出来上がり。

出来たぬか床の一部をラップに広げ、そこに漬けたい野菜をのせてくるみ、電子レンジで600Wなら30秒、500Wなら40秒加熱する。これで「ぬか漬け」の出来上がり。ぼくは「きゅうり」で試してみたが、美味しい漬物が出来上がった。詳しくは「おもいっきりテレビ」のHPの「今日の特集」3月9日放送分参照。http://www.ntv.co.jp/omo-tv/

原村の篠原一弘さんから、メールがあり、3月13日の飛び入りライブに参加したいとあった。13日のメインは「香月!」で、オーリアッドでの2度目のパフォーマンス。1月に初めて聞いたときは感動した。もしこの日記を読んでいる方でお近くにお住まいの方は是非お出かけ下さい。篠原一弘さんの歌も素晴らしいです。
A splendid evening is guaranteed.


March 10, Wednesday 2004

先月に引き続き、「辰野ジブラーンを読む会」の方々が来て下さった。このページを見ている方もいて早速タコスを注文して下さった。タコス、玄米野菜ピラフ、ぺペロンチーノの夕食後、自分たちで訳した『預言者』を最初から、みなで音読し始めた。ぼくも近くへいって聞かせてもらったが、とてもいい雰囲気だ。今晩は1章「愛について」2章「結婚について」3章「子供について」。

  
子どもたちの身体を家に入れてもいいが、彼らの魂まで
  家に入れてはいけない。なぜなら彼らの魂はあなたが夢
  の中でさえ訪れることのできない明日という家に住んでい
  るのだから。

  あなたは弓であり、あなたの子どもたちはその弓から射
  られる生きた矢である。射手は無限の道に的を定め、矢
  が速く遠くまで飛んでいくように、渾身の力であなたを曲
  げる。彼の手によって曲げられることを喜びなさい。なぜ
  なら飛んでいく矢を愛しているように、彼はしっかりとした
  弓をも愛しているのだから。

この本をみなで訳したのは、もう20年近くも前のこと。おそらく20年の歳月をさらに生きることによって、前よりも深くこの本を理解することができるようになっているにちがいない。20年だけ余分に「彼の手によって」曲げられてきたのだから。



March 9, Tuesday 2004

オーリアッドのメニューに加わったワインは、ピーロート・ジャパンから直接取り寄せたイタリアの Rosso del Veneto というワイン。酒屋さんの店頭では買うことのできないものらしい。ワインにはまったく素人のぼくが飲んでも飲みやすく美味しいワインだった。

      

大工さんのコンサートの予約が早速2人の方から届き驚いた。そのうちの一人は今度聞けば4回目とのこと。最初のときは何かのフェスティバルの中でのコンサートで、主催者発表によれば、聴衆が5万人だったとか。「今までで一番間近で見られそうです」と書いてあった。


March 8, Monday 2004

神谷さんより連絡があり、大工哲弘さんのコンサートを7月10日(土)に行うことが決まった。大きな会場を借りることも考えたが、やはりオーリアッドの空間で彼の歌を聞いてみたい。最高70人までは入ることができる。お早めにご予約下さい。

大工さんのコンサートの前に行われる次のコンサートも予約受付中です。
  4月30日(金)茶木みやこコンサート
  5月28日(金)よしだよしこコンサート
  6月12日(土)YAMA-SHOWS コンサート
  6月19日(土)第8回三浦久ほたる祭りコンサート

先週の土曜日からメニューにタコスとワインが加わった。タコスはぼくの好物である。20年前の初期オーリアッドでも好評だったので、再開と同時に始めたかったが、以前利用していた食材屋さんにタコスの殻とソースがないとのことで諦めていた。今回、東京のデパートから調達することができた。久々にタコスを食べた感想は、「やはり美味しい!」タコスには、やわらかい殻とかたい殻の2種類がある。ぼくは断然かたい殻党である。

ワインはイタリアの赤ワイン。とても飲みやすいワインである。ビールやテキーラもいいが、ワインもタコスに合う。一度お試し下さい。

        



March 6, Saturday 2004

東京から田中誠一君を迎えての飛び入りライブ。久々に彼の歌を堪能した。彼のHPの「あの頃ミュージシャンだったような思い出」の中に書かれている河島英五から渡されたテープの中の歌と自作の歌をいくつも歌ってくれた。

最初に歌ってもらったのは赤羽真理さん。赤羽さんのファーストネームは真理と書いて「まこと」と読む。田中君は、先日のぼくの書き込みを読むまで女性だと思っていたとのこと。赤羽さんは「放浪者の子守唄」「旅立ちの時」「森の小道」の定番のあと、「バラはあこがれ」を歌う。この歌は昔歌声喫茶などでよく歌われたらしいが、ぼくは初めて聞いた


  
Makoto Akahane, Hiroko Tanaka and Isao Nagashima with his guardian angel on his back 

次に田中誠一君登場。頭に頭巾のようなものをかぶり、E-ストリートバンドのリトル・スティーブンを思わせる。彼の歌の中でもっとも気に入ったのは河島英五作詞作曲の「流れ星」。この歌は河島英五も自分のアルバムには入れていない未発表曲で、もし田中君が今歌わなかったら永遠に失われてしまうだろう。

幼子の遺体の前で嘆き悲しむ母親、年老いて生きる意欲を失った父親を慈しむ息子、別れた恋人に思いを馳せる若者、の3つのイメージが描かれ、それぞれの最後に「流れ星とまれ」というリフレーンが入る。ハーモニカが印象的だ。「てんびんばかり」を思わせる。


それから田中君は、今から30年近く前、精華短大の「自分の歌を作る」ゼミで発表した「季節風」も歌ってくれた。懐かしかった。ぼくは、この歌を聞いて彼を京都レコードに紹介した。その後長い間彼の運命を狂わせてしまったのではないかと恐れていたが、シンガーとして寄り道したことは、彼の現在のライターとしての仕事に大いに役立っていると聞きほっとする。彼はそのほかに「ゴルゴダの丘」「少年」「時計仕掛けの一日」などを歌う。


  
Seiichi Tanaka

次に田中君の奥さんの田中博子さんにお願いして彼女の仕事の話をしてもらう。彼女が経営している店のひとつであるレンタル・ショップの家賃が高額で驚く。都会ではそれほど珍しいことではないのかもしれないが、光熱費、人件費を入れたら大変な額になる。年中無休、朝10時から深夜1時まで営業しているが、彼女が店に行くのは月に一度で、通常は都内のオフィスにいて、3つの会社の経営者として指揮をとっているとのこと。華奢な身体ながらものすごいバイタリティ。彼女が田中君と出会ったのは、彼女が「あのねのね」のコンサートに頻繁に通っていたからとのこと。ということは、ぼくもふたりの出会いにいささか関係がある。不思議だ、人と人の出会いは。

次に長島功さん登場。「無縁坂」「掌(てのひら)」「コスモス」を歌う。この日彼は、19年前19歳のとき、岡谷の北條楽器店で定価100万円のところ仕入れ値の70万円で売ってもらったというギターをもってきた。ブランド品に縁のないぼくの知らないメーカーだ。彼は車を買うかわりにそのギターをローンで買い、5年間バスで伊那市の会社まで通ったという。彼が今までもってきたギターは昨年夏50万円で買ったというマーチンのポール・サイモンモデル。今日彼は「家宝」を初めてもってきて見せてくれたのだ。確かにいい音がする。

次にぼくが、「その人がこの町に嫁いできた頃」「俺が生まれて育ったとこは」「旅立つおまえに」「パーティーは終わったよ」を歌う。その後もう一度、田中君に歌ってもらい、最後に、バンドの練習を終えて駆けつけてくれた大月高志さんがピアノで「パッヘルベルのキャノン」と坂本龍一作曲の 「Merry Christmas, Mr. Lawrence」を弾く。2曲目は初めて聞いたが、最後の盛り上がりには度肝を抜かれた。
 
  
Takashi Otsuki

劇画原作者で写真家でもある田中君が、オーリアッドに集まる人たちのキャラクターは面白い、みんな絵になる、といっていたが、確かに一風変わった人たちが集まってくるようだ。



March 5, Friday 2004

午後届いたサイモンとガーファンケルの 3枚組みのCD、Old Friends の一枚目を聞いた。これは7年前にリリースされたものの再リリース。Sound of Silence は、トゥー・バージョン入っている。一つはオーバーダビングの入っていないオリジナル。もうひとつはバンド形式のバージョン。大ヒットしたのは後者。これは、4月から始まる「アメリカ大衆文化」で、フォークロックへの変遷を語るとき使えそうである。ぼくがいいなと思ったのは、昔から好きだった Flowers Never Bend with the Rainfall。この歌を歌ったことはないが、レパートリーに加えたいと思った。それに Wednesday Morning, 3 A.M. もよかった。

母の主治医だった辰野病院の土屋先生が遅くにくる。ウイスキーを飲みながら(彼もぼくもニッカ党)、しばし話す。彼はクラシックギター奏者でもあり、何曲か弾いてくれた。フラメンコ風の指を次々に降ろしながら弾く奏法が見事で、少し教えてもらった。上手く弾けるようになったら、お経の歌にこれを使うといい感じだろう。

最終的に店を出たとき、閉店時間はとっくに過ぎ、驚いたことに雪が降っていた。大雪だ。

明日は「飛び入りライブデー」。東京から田中誠一君が来ることになっている。中央道が不通にならなければいいが。


March 4, Thursday 2004

今晩は前半暇だったので、数日前に読み始めた「蹴りたい背中」をようやく読み終えた。一気に読めなかった理由は、お客さんがきて中断せざるを得なかったということもあるが、ぼくには稚拙と思える修飾語や比喩的表現に興ざめしたからである。どちらかといえば「蛇にピアス」の作者に才能を感じる。しかし、どちらも本当に「芥川賞」にふさわしいかどうかぼくにはわからない。選考委員たちは本当にこの2作を評価したのだろうか。

昨晩そして今晩、ケイト・ウルフの Gold in California を繰り返し聞いた。彼女の歌を聞くたびに、こんな風に歌えたらな、こんな歌が書けたらなと思う。まったく力むことなく淡々と歌っていながら、ものすごい説得力。

後半ちょっと忙しくなった。お店はやはり忙しいくらいがいい。そうそう、off note の神谷さんから電話があり、大工哲弘さんが7月にオーリアッドに歌いにきてくれるとのこと。凄い!「大工哲弘 in オーリアッド」が実現しそうである。


March 3, Wednesday 2004

寒い日が続いている。3日ぶりに開けたオーリアッドは冷え切っていた。早速エアコンのヒーターをつけ、灯油ストーブに点火した。

赤羽真理さんがオーリアッド近くの旅行社へ寄ったあとコーヒーを飲みに来てくれた。奥さんとふたりで近々沖縄へ行くとのこと。勤続30年に対する会社からのプレゼントとのこと。沖縄は暖かいだろうな。ぼくが日本の中で行ったことのないところは沖縄だけ。是非一度行きたいものだ。

花岡明生さんが、先月21日の本城村での「わたげコンサート」の記事が載っている「市民タイムス」をもってきてくれた。何を隠そう彼は市民タイムスの塩尻支局長である。車にバンジョーが乗っているというので、I Saw the Light を一緒にやってみた。とてもいい雰囲気。その後、お客さんの前でもバンジョーを弾いてもらったが、バンジョーを弾く姿も様になっているし、演奏自体も昔聞いたときよりもうんと上手くなっている。土曜日にきて演奏してくれるように頼んだが、はたして来てくれるだろうか。

遅くなって、蕎麦処「さくら」の竹渕さんがきて、「さくら」が主催する二胡の劉鋒さんとジャズバンドのコンサートのポスターを置いていった。4月24日(土)、「かんてんぱぱホール」で行われるようである。詳しくは http://www.officeliu.com/yotei.htm で。

今度の土曜日の飛び入りライブには、東京から田中誠一君がくることになっている。彼はかつて京都レコードに所属するシンガーだった。現在は劇画の原作者。彼は常に国の内外を旅している。彼の旅の話を聞いていると時間が経つのを忘れてしまうほどおもしろい。奥さんも一緒にくるとのこと。彼女は鎌倉と大船で、ビデオ・CD・DVDレンタルやインターネット・カフェを経営するビジネスウーマン。彼らは結婚したときから別々に住んでいる。毎年12月のぼくのマンダラ2のライブで二人が顔を合わせると、「やあ、久し振り」なんて言い合っている。

彼の日記に次のように書かれていた。

  自分が創った何十という曲、そして3年前に亡くなっ
  た、同じ事務所でいっしょにツアーも回っていた河島
  英五さんから「歌ってみないか」と渡された曲の数々。
  歌わないぼくがいたから、その曲たちは死んでしまっ
  てました。だからもう一度、その曲たちをどれだけ生
  き返らせることができるかわからないけれど、歌って
  みようと決めました。


March 1, Monday 2004

何度かオーリアッドへ行くにはどうしたらいいですかと聞かれたので、前からオーッリアッドへの道順をホームページに載せようと思ってきたが、今晩何とか Ways to OREAD (オーリアッドへの道)をアップした。


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